2015年12月2日水曜日

虚血性心疾患:狭心症と心筋梗塞 – その1


 心筋梗塞というととても恐ろしい病気だ、そういった認識は多くの人にいきわたっていると思います。その心筋梗塞ととても近い病気として狭心症があります。その怖い病気について述べますので、できるだけ危険を回避するような生活を心がけてください。この項をお読みになって生活習慣が多少とも変り、虚血性心疾患になる人が少しでも減れば望外の喜びです。

 人の血管は全部をばらばらにして一本の管につなぎなおすと、10万キロほどになるそうです。その10万キロの血管は、もちろん新生児の頃には少し短いわけですが、加齢とともにだんだん痛んできます。台所の配水管を時々『パイプマン』などを使ってクリーニングした経験は御ありでしょう。配水管の内周に分厚く堆積した『汚れ』をこのパイプマンでお掃除しているわけです。そして配水管内の汚れは主に廃油由来です。

 当然のことですが、油をたくさん使う料理をする過程のほうが、配水管が短い時間で詰まります。一方油をたくさん使った料理をしても、余った油を新聞紙などでふき取ってそれを可燃ごみに回し、シンクに油が余りいかないようにしてからフライパンを掃除すると言う細やかな神経を使う過程ではパイプマン出動の回数が激減します。このような譬えは血管の内側に着く汚れ(=動脈硬化)をそれなりに説明していますので、まずそのことを踏まえて置いてください。

 ただし、私たちは食生活で廃油のようなものを血管内に流し込んでいるわけではありません。デンプン、蛋白、脂質、そして微量な栄養素を食物の形で消化管に取り込み、消化して細かい成分に分解し、それを消化管を走行している血管内に取り込み、肝臓に送り、そこで使い勝手がいいように加工して全身に送っているのです。もし消化吸収の段階で、体に充分存在するものを取り込まないなどのメカニズムが備わっていたら、いくら食べてもそれが原因で血管などの病気になる心配はないのですが、そんな人にはお目にかかったことがありません。

 『ギャル曾根がいるじゃないか』と言う声が聞こえてきそうですが、彼女の場合は必要な栄養素もなかなか吸収しないので、食糧事情の悪かった大昔であれば、生存し続けることが難しかっただろうと思います。もしかすると人によっては多少とも栄養素を選択して吸収する人がいるかもしれません。毎日卵を56個食べてもコレステロールの代謝が正常な人などが稀にいるからです。でも、多くの人は食べた分を吸収してしまいます。だから肥満が問題になるわけです。

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