2014年10月23日木曜日

コレステロールの話


 コレステロールはステロイドという物質群のひとつで、体内の細胞膜を構成する、ステロイドホルモンの主要構成因子になるなどの重要な働きをしていますので、コレステロールを忌避するという態度は感心しません。巷では善玉コレステロールと悪玉コレステロールについて云々されていて、善玉を上げ、悪玉を下げるにはどうしたらよいかと質問されることも時々あります。今回はそのコレステロールについて考えていって見ましょう。

 ウィキペディアによりますと、『いわゆる「善玉/悪玉コレステロール」と呼ばれる物は、コレステロールが血管中を輸送される際のコレステロールとリポタンパク質が作る複合体を示し、コレステロール分子自体を指すものではない。善玉と悪玉の違いは複合体を作るリポタンパク質の違いであり、これにより血管内での振る舞いが変わることに由来する。これらのコレステロールを原料とする複合体分子が血液の状態を計る血液検査の指標となっている。』とあります。

 このコレステロールは食事から摂取されるものではなく、体の中で合成されます。これはデンプン質や塩分などと大きく違うところです。デンプン質は個別に吸収された炭素とか水素などが体内で合成されてブドウ糖などに変化するわけではないのですが、コレステロールは吸収された構成要素が体内で合成されて出来上がるのです。そして血漿中のリポ蛋白にくっついて体のあちこちに運ばれます。約3割ほどが脳神経系に分布していると聞いたことがあります。

 このコレステロール、善玉とか悪玉といわれているのですが、この善玉・悪玉を分けているのはコレステロールではなく、血漿中のリポ蛋白です。コレステロールとくっついているリポ蛋白の性状の違いで血管内でのコレステロールの挙動が違ってくるのです。それにデンプンや脂肪と異なり、コレステロールには貯蔵庫がありません。ですから余剰コレステロールは問題になりやすいとも言えるのです。

○○を食べる(飲む)とcholesterolを下げることが出来る、などという風評はかなり一般的です。例えばリノール酸を摂取すると悪玉コレステロールが下がるといわれていました。リノール酸はサフラワー油とかコーン油に多く含まれています。だからといってサフラワー油をごくごく飲み込んだらどうなるか、多分下痢になって体外に排出されることになるでしょう。それに近年の研究でリノール酸に上記のような効果はなさそうだとも言われています。

 中性脂肪が上ると悪玉コレステロールも一定の割合で上ります。しかし常識的な食生活をしている限り、それほどひどいことが起こるとは考えられません。常識的な食生活とはすべての食事をジャンクフードで済ませるとか、お酒と少量のつまみだけで過すといった極端な食生活を避けるということです。その地域で昔から取れている野菜、海草、肉と魚を極端に濃い味付けを避けてよく噛んで美味しく頂く、そして体を動かし、時々日の光を浴びて生活していくことが一番いいのではないでしょうか。体の一部が極端に老化するのではなく、全体が同じようなペースで老化していく、これが理想です。

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