2015年10月13日火曜日

帯状疱疹後神経痛と治療-1


 「1年の中で特に起こりやすいという時期はない」とされていましたが、宮崎県内の医療機関が19972006年に行った5万人近い大規模な集団に対する調査では、8月に多く冬は少なく、帯状疱疹と水痘の流行は逆の関係にあることが分かりました。この現象は、10年間毎年観測されたとしています。この調査とは別に、年齢的に水痘患者数の多い小児との接触の機会の多い、幼稚園や保育園の従事者には帯状疱疹の患者数が少ないことも明らかになっています。

 どうやらウイルスとの接触で免疫価が高くなり帯状疱疹が発症し難くなっていることがその理由のようです。 一般的には、体調を崩しやすい季節の変わり目に多く、基本的には一生に1回であることが多いのですが、2回以上罹患する人もいます(発症部位は異なることが多い)。再発するのは5%以下。ただし、全身性エリテマトーデス(SLE)などの膠原病や後天性免疫不全症候群(AIDS)、骨髄疾患や免疫抑制薬などで免疫機能が低下していると短期間に何回も繰り返します。

 帯状疱疹の活性化時期には体液中に水痘ウイルスが存在する可能性があり、口腔内から検出されることもあります。また皮膚と皮膚の接触感染は勿論、体液感染や飛沫感染、物品を介しての伝染の可能性も否定できません。妊娠中に帯状疱疹を発症しても非妊娠時と経過は変わらず先天奇形は起こらないと云われていますが、帯状疱疹は胎児に感染するので、産婦人科での診察が必要でしょう。高齢者の場合、神経痛が強く残ることがあります。それを疱疹後神経痛、帯状疱疹後神経痛といいます。

 帯状疱疹としてではなく水痘として感染します。飛沫感染ではなく接触性の感染で、水疱の中に存在する水痘・帯状疱疹ウイルスが気管・気管支の中で増殖して水痘となります。発病した子供を抱くなどした場合、感染の恐れがあります。一度水痘になると、たとえ治癒しても水痘のウイルスが神経節中に潜伏している状態(潜伏感染)が続きます。ストレスや心労、老齢、抗がん剤治療・日光等の刺激などにより免疫力が低下すると、ウイルスが神経細胞を取り囲んでいるサテライト細胞の中で再度増殖する(再活性化する)ことがあり、この増殖によって生じるのが帯状疱疹です。

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