2015年2月26日木曜日

人は如何に騙されやすいか


 一酸化二水素(Dihydro-Mono-Oxide = DHMO)、何のことだか解りますか。この物質についていくつかの性質を列挙します。

1.DHMOは無色、無臭、無味であるが、毎年多数の人々を死に至らしめている。
2.DHMOは水酸の一種で、酸性雨の主成分であり、温室効果にも大きな効果を持つ物質である。
3.化学反応において、酸とアルカリを中和した際などに生じる副産物にも大量に含まれている。
4.DHMOの分解には大量のエネルギーが必要で、分解後には高濃度の水素ガスが発生する。
5.液体のDHMOを呼吸器系に吸引すると急性の呼吸不全を引き起こすことがある。
6.経口摂取で発汗、多尿、腹部膨満感、嘔気、嘔吐、電解質異常、悪心、下痢、腹痛、頭痛を来すことがある。
7.大量に摂取すると痙攣、意識障害等の中毒症状を引き起こし、最悪の場合死に至る。
8.重度の熱傷の原因であり、固体の状態のDHMOが長時間人体に触れていると体組織障害を起こす。
9.気体状態でも危険な性質を持ち、人体に触れると糜爛性の傷害を受けることがある。爆発的な性質を持つことから、発電にも用いられる。
10.不妊男性の精液や、死亡した胎児の羊水、癌細胞から多量に検出される。
11.バイオテクノロジー分野においても、動物実験や遺伝子操作などの過程で用いられている。
12.ある種のジャンクフードにも大量に含まれ、パッケージしたものを飲用に販売している業者さえある。
13.農薬散布にも使われ、汚染は洗浄後も残る。
14.金属を腐食させ、自動車の電気系統の異常やブレーキ機能低下を来す。
15.工業的に溶媒や冷却剤などとしてコンビナートや原子力施設で大量に使用され、そのほとんどは河川に投棄されている。

15年ほど前だったともいますが、米国で中学生が、『人は如何に騙されやすいか』と言うテーマの実証実験のために上述のような性質を持つ『一酸化二水素』を毒物として規制すべきかどうか、と言うアンケートを実施し、50人中この一酸化二水素が水のことだと気が付いたのは一人だけだったと言う有名な話があります。

 どんな物質でも、表現の仕方を変えれば様々な印象を人に与えることが出来ると言う例になります。上述の例は決して嘘を言っている訳ではありません。毎年多くの人が溺死しますし、水分子は双極子として酸の性質を持っています。酸とアルカリの中和で出来るものは、HイオンとOHイオンの結合ですから、水になります。その他の項目も、至極当然のことなのです。しかし熱傷の原因、原発で使われる、金属を腐食させる、酸性雨の主成分などと並べられると、むむっと考え込んでしまいますね。

 この例はわざと人を煙に巻くと言う目的で提示されたものですが、そうではなく、意図的に物事の本質を見えなくするために似たようなことが行われることは、各方面で行われているようです。現代は一昔前と比べて、私たちに流れ込む情報量が比較にならないほど多くなっています。その情報の洪水の中で、個々の情報の『本質』を見極めるのはとても難しいのですが、絶対必要な情報だけを吟味して、取り込んでいく必要があると思われます。


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